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わかちあいプロジェクトの松木さんに聞きました

「わかちあいプロジェクト」は国際協力NGOとして1992年にスタートし、フェアトレード商品の販売を開始。 2012年に一般社団法人化し、世界各地で支援活動を行ってきた団体です。代表の松木傑さんは、フェアトレード・ラベル・ジャパンの立ち上げにも尽力され、日本におけるフェアトレード商品の普及を牽引してきました。
今回は、松木さんに、「わかちあいプロジェクト」のフェアトレード商品についてお伺いしました。

―「わかちあいプロジェクト」がフェアトレード商品を扱うようになった最初のきっかけを教えてください。

松本さん私は日本福音ルーテル聖パウロ教会牧師なのですが、教会の行事で1992年2月に欧米諸国の国際協力団体を訪問した際に、ドイツのフェアトレード紅茶と出会いました。

当時、日本ではもちろん、ヨーロッパでもフェアトレード商品というものはほとんどありませんでした。この「フェアトレード紅茶」を日本に持ちかえろうと思い、最初はドイツから仕入れて、教会の総会などで販売しました。最初は自宅の居間の押入れに商品を保管してのスタートでした。

―国際協力にはさまざまな形がありますが、フェアトレード商品の販売というスタイルを続けている理由は何なのでしょうか。

21世紀の世界の課題は、貧困問題と環境問題の2つです。世界にはたくさんの問題がありますが、すべてこの2つに集約されるといえるでしょう。フェアトレードは貧困問題、環境問題という最も重要な課題を一般市民一人一人が解決できる方法です。フェアトレードですべてが解決されるとは思っていませんが、フェアトレードの普及によって世界が良い方向に変わってきているのも事実です。

「わかちあいプロジェクト」では、難民支援、農村開発支援などさまざまな支援を行っていますが、フェアトレードは市民レベルで誰でも参加できるというのが大きいですね。

―現在はどのような商品を展開していますか。

CAFE MAMコーヒー、紅茶、ワイン、ジャム、ナッツ類、オイル、ボールなどさまざまです。話題性のある新しいものを作りたいと思い商品展開をしていますが、過去には苦戦したこともありました。羊羹、金太郎飴、雷おこしなども作ったのですが、フェアトレードは海外のものというイメージが強いので日本の商品は売れなかったですね。

フェアトレード認証を取得しているものは有機認証も取っているものが多くあります。

生産者の支援のみならず、商品自体もとてもいいものが多いのでもっとアピールしていきたいと思っています。

―多彩な商品を扱える理由は何なのでしょうか。商品開発の仕方についてお聞かせください。

1992年に始めた当初は、ドイツで「フェアトレード紅茶」として売られているものを、そのまま仕入れていました。現在扱っている商品は、自分たちが途上国へ行って生産地を訪れ、フェアトレード商品として販売できるように道筋をつけたものもありますし、私たちがフェアトレードの原料を入手して、メーカーさんにつないで商品を開発したものも多いですね。メーカーさんとタッグを組むことで、さまざまな商品を製造することが可能になりました。

たとえば、味噌と醤油は、フェアトレードの大豆を見つけましたので、それを輸入し、国内の老舗メーカーさんにその原料を使った製造をお願いして「フェアトレード味噌」、「フェアトレード醤油」が誕生しました。フェアトレードのみつろうを入手して、国内メーカーにろうそくやクレヨンに製造してもらったり、フェアトレードの砂糖を使ってジャムにしたりと、いろいろなことをしています。

―「わかちあいプロジェクト」の商品は、パッケージデザインがとても洗練されているように感じます。パッケージについてはどのようにつくっているのでしょうか。

HONEY82デザイン会社にお願いしていますが、自分たちでつくることもあります。フェアトレード商品が女性誌に紹介されることもありますが、パッケージデザインが良いものが選ばれているようですね。

―現在はどのような商品を展開していますか。

フェアトレード認証コットンバッグ 自社のオンラインショッピングで販売しているほか、全国各地の店舗にも商品を卸しています。また、最近は、企業向けの活動も多くなってきています。

たとえば、大日本印刷では、オリジナルキャラクター「DNPenguinグッズ」として、フェアトレード認証コットンバッグを作成し、東京・市谷にある「コミュニケーションプラザ ドットDNP」で販売を開始しましたが、これは「わかちあいプロジェクト」が委託され製造したものです。
綿花の生産現場から縫製の工場まで、過程すべてで国際フェアトレード基準を満たしたもので、国際的なオーガニック・テキスタイル基準であるGOTSの認証を受けたオーガニックコットンを使ったバッグです。

DNPはフェアトレードの普及に熱心な企業で、社内カフェでは、フェアトレード認証コーヒーと認証マカロンも提供しています。このマカロンは、「わかちあいプロジェクト」とDNPが共同企画したもので、アフリカ・マラウイ産のフェアトレードシュガーを使用し、新宿・曙橋の洋菓子店『ラ・ヴィ・ドゥース』が手がけたものです。

―日本におけるフェアトレード商品販売のパイオニア的存在だと思いますが、92年から現在までに、どのような変化を感じますか。

大手スーパーマーケットがフェアトレードコーヒーの取り扱いを始めるなど、フェアトレード商品はかなり増えてきました。とはいえ、まだまだ商品のバリエーションが広がらないですね。もっといろいろな商品が広まってほしいのですが、「フェアトレードといえばコーヒー、紅茶」とい イメージが強いのでしょうか。

一方、現在ではフェアトレードに関心を持つ方も増え、私ども販売者からの提案のみだけではなく、消費者や企業からもこんな商品があったら…とご提案いただくことも増えてきたことは嬉しいですね。

―「わかちあいプロジェクト」の今後について、展望、目標などがあれば教えてください。

これまでと変わらず、フェアトレードを広めていくことに尽力します。また、今後も途上国の生産者のもとを訪ね、彼らのフェアトレード認証取得に携わり、パートナーとしてフェアトレードによる支援を続けていきたいと思っています。

わかちあいプロジェクト: http://sooooos.com/shop/wakachiai/index

コンテンツ提供:ソーシャルプロダクツ普及推進協会

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