今が見ごろのアジサイ、お寺に多いのはなぜ?

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アジサイがきれいな季節になりました。日本各地に名所はありますが、お寺が多いと思いませんか。
そこには意外な理由があったのです。

Pick up 01アジサイは手入れしやすい植物

アジサイは日本原産の植物です。原種はガクアジサイですが、幕末ごろ、西洋人が
国に持ち帰り、様々な形に品種改良されました。

形だけではなく、青や赤、白等、色の種類もたくさんあります。しかし、同じ品種でも
色が違ってくる事があります。それは、土の状態によります。酸性の土壌だと青色に、
アルカリ性だとピンク色になります。

色の事を考えなければ、アジサイは特別な土も必要なく、手入れが容易です。
元々山に咲いていたものなので、日本の気候に合っていますし、丈夫で病害虫も少ないのです。
アジサイの根は横に張ります。他の植物と比べても長く、細い根が複雑に絡み合っているので、
土留めの役割もしています。寺は山に建てられている事が多いのですが、アジサイがあることで、
急斜面に雨が降っても、土が流れ出さないようになっています。

Pick up 02アジサイと仏教の関係

なぜアジサイの名所に寺が多いのか、それには様々な説があります。
まず、立地との関係があります。古来、寺は修行の場だったので、神聖な山に建てられる事が
多くありました。直射日光が当たり過ぎない斜面、水はけのよい土地は、アジサイが育つのに
適した場所だったのです。

もう1つは、甘茶との関係です。アマチャという植物の花(上の写真)は、ガクアジサイとよく似ています。
実は、アジサイの変種なのです。この葉を発酵させてお茶にします。
お釈迦様が生まれたとき、産湯に甘茶を注いだという言い伝えがあり、今でも花祭りには仏像に
甘茶をかけます。
このような事から、寺にアジサイが植えられたという説があります。

アジサイの名所の中には、戦後植えられたものもあるので、これらの説は確証を得られたわけでは
ありません。しかし、何となく納得できると思いませんか。

Pick up 03いざ、アジサイの名所へ

寺に限らず、様々な場所でアジサイは見られます。公園や遊園地、鉄道の沿線にも名所はあります。
しかし、寺のたたずまいや苔むした石段と共に咲くものは特に魅力的です。アジサイは雨上がりのときが
一番きれいだといわれていますが、鑑賞の時は雨で滑らないように注意してください。

アジサイは、枯れてしまうとあまり見た目が良くありません。また、次の年も良い花を咲かせるため、
花が終わるとすぐ剪定が始まります。ウェブサイト等では開花状況が更新されていきますから、
よく確認してから出かけましょう。

寺だという事を忘れず、マナーを守って季節の魅力を楽しんでください。

 

by minato50