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壊れたものに新しい命を吹き込む日本の伝統工芸「金継」

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「金継」はものを大切にする日本の「mottainai 」文化が生んだ歴史と伝統のある陶磁器の修復技術。
割れてしまった日常使いの食器などを自分で手軽に金継してみましょう。やり方はとっても簡単です。

Pick up 01ものを大切にする日本の精神が生んだ修復技術「金継」

「金継」をご存知でしょうか。「きんつぎ」とか「かねつぎ」と読みますが、「金繕い」とも
表すことがあり、この場合は「きんづくろい」「かねづくろい」です。

これは日本古来からある伝統的な陶磁器の修復技術で、割れてしまったり欠けたりした
陶器を漆で接着し、繋ぎ合わせた部分に金を塗ったりまぶしたりして装飾することにより、
全く新しい作品として仕上げる技法です。

この技術が盛んになったのは、茶道が政治の場に浸透し盛んになった室町時代から。
千利休の時代に完成されたといわれています。

陶磁器は割れてしまうとその役目を失います。それを芸術的に修復することで、新しい
命を吹き込むということなのでしょう。修復しデザインが変わったものは「景色」が変わったとされ、
その新しい表情を楽しむのです。

ものを大切にする「mottainai 」文化発祥の日本らしい歴史と伝統です。

Pick up 02身近にあるもので気軽に「金継」をしてみましょう

でも今やこうした技術を持った人はそんなに多くありません。最近の日本はすっかり消費大国になり、
新しいものを次々と買い求める風潮があります。いいものを大切にいつまでも使いたいという考え方も、
だんだん薄れてきました。そんな事情も伝統工芸を継ぐ職人が少なくなった理由でしょう。

大切にしていたものが壊れたとして、技術料や修理に出す手間を考えると、日常的なものはすぐに
直すという訳にはいかないのが現状。それならば身近なもので、自分で金継をしてみましょう。
本来の金継ぎは、漆を練って陶器の割れたところを接着し、慎重に乾燥させその継ぎ目に金を塗る、
という工程が必要です。でも自宅でそんなことできませんよね。昔は接着剤がなかったので漆を使いました。
今は接着剤という便利なものがあります、これを使ってやってみましょう。

Pick up 03やり方はとても簡単、ただし食器の内側には注意して

やり方は簡単。

割れた陶磁器を接着剤で接合する前に、ペン型の金色のポスターカラーで接着部分を塗ります。
大胆に塗らずに割れた部分にだけ慎重に塗ってください。まるで金継ぎの金を塗るように。

金色が塗れたら接着します。ボンドやセメダインのパッケージに「陶磁器」に使えると書いてある
ものを買い求めてください。

貼り合わせたら今度は金で塗った部分に丁寧に接着剤を塗ります。チューブ型のものなら、
ペンと同じようになぞるだけ。割れたものを閉じるときは線に、欠けたものを継ぐときは点に、
小さく欠けたところは継がずに色を塗った部分に膨らむように接着剤を置きます。いずれも
色は必ず最初に塗ってください。接着剤が色落ち防止剤にもなり、洗っても色落ちしません。

ただし、食器類なら中の色塗りは控えましょう。安全上の理由からもあくまで外側、カップの
ふちの唇のつかない部分にします。最近は本格的なキットも販売されていますので、そちらで
トライするのもいいかもしれません。

金継ぎで新しい景色を愛でるワビサビライフを、気軽に楽しんでくださいね。

 

by kinari

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