バレンタインデーの前に考える チョコレートの2020年問題

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2013年冬、チョコレートについてショッキングな発表があったのを知っていますか。2020年に
チョコレートが消滅してしまうというものです。いったいどういうことなのか、見ていきましょう。

Pick up 012020年にチョコレートが消滅するって本当?

事の発端は、2013年に「チョコレート産業会議」で発表された、「2020年にチョコレートが消滅する
恐れがある」というものでした。
需要と供給のバランスが崩れて、カカオ豆は100万トンも不足するというのです。

2014年にはリベリアなど、カカオ原産国の周辺でエボラ出血熱が発生し、不安が高まったこともあり、
カカオ豆が高騰しました。日本のチョコレートメーカーでも、減量や値上げなどが行われました。

しかし、その年のICCO(国際カカオ機関)は、カカオ豆が不足することはないと発表しました。その後の
報道はあまりないので、騒動は沈静化したようです。ただ近年、新興国のチョコレート需要が増えてきて
おり、楽観はできない状態です。

Pick up 02カカオ豆の不足、その原因とは

カカオ豆の生産量が一番多いのは、西アフリカのコートジボワールです。カカオ豆は大規模な
プランテーションには向かず、小規模農家が生産しています。

多くは貧困状態にあり、自分たちが作ったものが何になるのか知らず、チョコレートを食べたことがない
人も多いのです。カカオの木も、生産者も高齢になってきており、世代交代がなかなか進みません。
カカオの木は、新たに植えても4年経たないと実が収穫できないそうです。若者は天然ゴムなど、収益性の
高い仕事を求めます。ですから、なかなかカカオ豆の生産量が増えないのです。

政府も取引価格の下限を決めるなど、努力をしてはいますが、流通の末端にいる生産農家はなかなか
恩恵にあずかれません。

Pick up 03消滅は食い止めたい!私たちにできることとは

「2020年にチョコレートが消滅する」というのは本当かどうか、誰にもわかりません。
実際、スーパーやコンビニエンスストア、通信販売でもチョコレートはたくさん売られていますから、
なくなるなんて信じられませんね。しかし、カカオ豆の供給は不安定です。気候の変動や政治情勢に
関しては、私たちにはどうすることもできません。

では、私たちにできることは何でしょうか。それはフェアトレード製品を積極的に購入するということです。
いくつかのチョコレートメーカーは危機感を抱き、生産農家を守るため、適正な価格で取引したり、
製造までを現地で行ったりしています。そうすることによって、安定的にチョコレートが供給できるのです。

私たちが安さばかりを求めると、生産農家が少なくなり、将来的にチョコレートが消滅してしまいます。
バレンタインデーのチョコレートを選ぶときは、原料の背景がわかるものを選んでみましょう。

 

by minato50